2024/10/20
運転お役立ち情報

電動キックボードの交通ルール

最近、南魚沼でも度々見かけるようになった電動キックボードですが、手軽に移動できる乗り物として特に都心部では人気が高まっています。実は2023年7月1日から電動キックボードの交通ルールが変わったことを知っていましたか?今回は昨今人気の高まっている電動キックボードの交通ルールについて解説していきます。

道路交通法上の車両区分

電動キックボードと一口に言っても、その車両区分は複雑になっています。一番気になるところは「免許が必要なの?」という点かと思います。 2023年6月末まで、個人の所有する電動キックボードは原動機付自転車に分類され、運転するためには原付免許が必要でした。2023年7月1日より新たに「特定小型原動機付自転車」「特例特定小型原動機付自転車」が新設され、電動キックボードの中でも免許がなくても運転できる区分ができました。
車両区分 該当車両
【免許必要】一般原動機付自転車 従来通り30km/h以下で走行する電動キックボード
【免許不要】特定小型原動機付自転車 最高速度20km/h以下に速度抑制した電動キックボード
【免許不要】特例特定小型原動機付自転車 最高速度6km/h以下に速度抑制した電動キックボード
上記のように今までは「原動機付自転車」と呼ばれていた区分は「一般原動機付自転車」に改められ、免許不要で運転することができる「特定小型原動機付自転車」と「特例特定小型原動機付自転車」が新たに加わりました。 それではここからは新設された「特定小型原動機付自転車」と「特例特定小型原動機付自転車」について詳しく解説していきます。

特定小型原動機付自転車

車体の構造

下記の条件を満たしていない場合、見た目は電動キックボードであっても一般原動機付自転車などに該当し運転免許が必要になる場合があります。
  • 車体の大きさは長さ190cm以下、幅60cm以下であること
  • 原動機として定格出力が0.60kW以下の電動機を用いること
  • 時速20km/hを超えて加速することができない構造であること
  • 走行中に最高速度の設定を変更することができないこと
  • オートマチックトランスミッションであること
  • 最高速度表示灯(緑色の灯火で、点灯または点滅するもの)が備えられていること
上記構造であるものを「特定小型原動機付自転車」と区分します。これらに加えて下記3点も守らなければなりません。
  • 道路運送車両法上の保安基準に適合していること
  • 自動車損害賠償責任保険(共済)に加入していること
  • 標識(ナンバープレート)を取り付けていること

主な交通ルール

飲酒運転の禁止

当たり前ではありますが、電動キックボードも飲酒運転は禁止されています。 飲酒運転は悪質で危険な犯罪行為です。飲酒運転をした本人には重大な罰則が科されますが、運転者だけではなく、車に乗ってきた人にお酒をすすめる酒類提供罪、飲酒運転の車に同乗する同乗罪、飲酒をした人に車を貸し出す車両等提供罪として運転者以外にも厳しい処罰が科されます。

運転者の年齢制限

特定小型原動機自転車の運転には運転免許は不要です。ですが年齢制限があり、16歳未満の人は運転することが禁止されています。飲酒運転同様、16歳未満の人に車両を貸したり、買い与えたり、譲渡することも禁止されていますので注意が必要です。

信号・標識等に従うこと

運転する上で道路上の交通ルールは守らなければなりません。 信号機は原則として車両用の信号機に従わなければなりません。また、「通行止め」や「車両進入禁止」、「一方通行」、「指定方向外進行禁止」などの道路標識にも従わなければなりません。 運転免許が不要な分、このあたりのルールをしっかり学ばなければ他の交通の妨げとなったり、重大な交通違反、交通事故にもつながります。特にまだ免許を受けてない方が特定原動機付自転車を運転する場合には、交通のルールをしっかりと確認してから運転することが極めて重要です。

通行する場所

車道通行の原則

特定小型原動機付自転車は、歩道または路側帯と車道の区別がある道路では、車道を通行しなければなりません。自転車道がある場合、そちらも通行することができます。 自転車同様、道路の左側を通行しなければならず、特に車両通行帯のない道路では左側端に寄って通行しなければなりません。 車両通行帯の設けられた道路においては、道路工事を避けるためや、緊急車両に進路を譲るときなどの特例を除き、一番左側の車両通行帯を通行しなければなりません。

右左折の方法

左折はあらかじめできるだけ道路の左側に寄り、道路の左側端に沿って十分に速度を落とした状態で行います。自転車と違いウインカーが備えられていますので事前に左折の合図も行います。 右折はいわゆる「二段階右折」で右折しなければいけません。自動車と同じような「小回り右折」はできませんので注意が必要です。 電動キックボードは右左折やカーブといった「曲がる」動作がとても不安定な乗り物です。特に右左折時は十分に速度を落とし、転倒を防止しなければなりません。

その他の注意事項

乗車用ヘルメットの着用

特定小型原動機付自転車の運転者には、ヘルメットの着用が努力義務で課されます。 交通死亡事故の多くは頭や胸への強いダメージによるものです。”努力義務”は強制するものではありませんが、交通事故の被害を軽減するためにはヘルメットは着用は必須と言えます。 ヘルメットを選ぶ際には「JISマーク」や「PSCマーク」の付いているものを選ぶようにしましょう。

運転中のスマホ操作の禁止

電動キックボードでも、運転中のスマホ操作や画面注視は禁止されています。また、イヤホンで音楽を聴きながらの運転など、周囲の音が聞こえないような状態での運転もしてはいけません。

二人乗りの禁止

特定小型原動機付自転車の乗車定員は1名で、二人乗りは禁止されています。

特例特定小型原動機付自転車

大まかなルールなどは特定小型原動機付自転車と同様になります。ここからは特定小型原動機付自転車とは異なる点をご紹介します。

車体の構造

特定小型原動機付自転車のうち、つぎの基準を満たすものを「特例特定小型原動機付自転車」と言います。
  • 最高速度表示灯を点滅させること
  • 6km/hを超える速度を出すことができないこと等
というように特定小型原動機付自転車に制限を加え、さらに速度を抑えた条件で運転するものを特例特定小型原動機付自転車と区分します。

通行する場所

例外的に歩道または路側帯を通行

特定小型原動機付自転車のうち、特例特定小型原動機付自転車の基準を全て満たす場合に限り、歩道を通行することができます。 全ての歩道を自由に通行できるのではなく、通行することができる歩道は「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識等が設置されている歩道に限られます。通行中は緑色の最高速度表示灯が点滅している状態でなければいけません。 歩道を通行する場合は、歩道の中央から車道寄りの部分、または普通自転車通行指定部分を通行します。もちろん歩行者優先で、歩行者の通行を妨げることとなるときは一時停止しなければなりません。横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる場合には、一時停止をして歩行者の通行を妨げないようにしなければいけません。

車道走行/歩道走行の切り替え

特例小型原動機付自転車の中には「車道走行モード」と「歩道走行モード」を切り替えられる車種もあります。 これにより、緑色の最高速度表示灯を点灯させ20km/h以下で車道を走行したり、モードを切り替え、最高速度表示灯を点滅させ最高速度を6km/hに制限することで歩道を走行することができます。

おわりに

いかがでしたでしょうか。特定やら特例特定やらと、ややこしくて非常に読みづらい記事になってしまったかと思います。 南魚沼ではまだまだ見かける機会の少ない電動キックボードですが、長岡や新潟などにお出かけの際には見かける機会も増えるかと思います。 よく知らない乗り物は、どんな動きをしてくるか不安に感じるものです。今回の記事で電動キックボードを所有する予定のない方も、電動キックボードの交通ルールを知り、運転中の危険予測の手助けになれば幸いです。