運転免許の取得を考えているけれど、何から手をつけていいか分からない、費用や期間、試験対策など不安や疑問が多い方もいるでしょう。
今回は、教習所選びから免許の種類、取得費用、仮免許や本免許の試験対策、さらには免許取得後の初心者期間や更新、万が一のトラブルまで、運転免許に関する「よくある質問」にQ&A形式で答えます。

運転免許の取得は、多くの方にとって人生の大きな節目となるでしょう。しかし、いざ免許を取ろうと思っても、「どこで取得すればいいの?」「費用はどれくらいかかるの?」「どんな種類があるの?」など、疑問は尽きないものです。まずはじめに、運転免許取得の第一歩となる教習所選びから、費用、期間、免許の種類と取得条件まで、皆さんが抱える疑問を一つひとつ丁寧に解説していきます。安心して免許取得への道をスタートできるよう、疑問を解消し、最適な選択をするための情報を提供します。
運転免許を取得する際、まず考えるのが「どの教習所に通うか」ではないでしょうか。教習所には大きく分けて2つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。自分に合った教習所を選ぶことが、スムーズな免許取得への鍵となります。
運転免許を取得できる教習所には、公安委員会から「指定」を受けている「指定自動車教習所」と、届出のみで運営されている「届出自動車教習所」の2種類があります。それぞれの大きな違いは、卒業後の手続きと教習内容にあります。
指定自動車教習所は、道路交通法に基づき公安委員会が定めた基準(指導員数、設備、教習カリキュラムなど)を満たしていると認められた教習所です。最大のメリットは、教習所を卒業する際に受ける「卒業検定」に合格すれば、運転免許試験場での技能試験が免除される点です。これにより、本免許取得の際は運転免許試験場で学科試験に合格するだけで済み、手続きが非常にスムーズに進みます。
一方、届出自動車教習所は、公安委員会への届出のみで運営されている教習所です。教習内容や費用は各教習所によって様々ですが、卒業しても運転免許試験場での技能試験は免除されません。そのため、教習所での技能教習を終えた後、ご自身で運転免許試験場に出向き、学科試験と技能試験の両方を受験し、合格する必要があります。費用が指定教習所よりも安価な場合もありますが、試験の合格は保証されないため、自己責任で学習を進める必要があります。
| 項目 | 指定自動車教習所 | 届出自動車教習所 |
|---|---|---|
| 公安委員会からの指定 | あり | なし(届出のみ) |
| 技能試験 | 運転免許試験場では免除される | 運転免許試験場で受験が必須 |
| 取得までの期間 | 比較的短期間で取得可能(教習所のカリキュラムに沿う) | 比較的個人差が大きくでる。上達の早い方は短期間で取得でき、遅い方は取得までに時間がかかる。 |
| 費用 | 普通車AT免許であれば概ね30万円前後 | 比較的個人差が大きく出る。指定自動車教習所より安く抑えられる場合もあれば、それ以上かかる場合もある。 |
| 教習の質と安心感 | 国の基準を満たしており、一定の質が保証される | 教習所によって質が大きく異なる可能性がある |
| このような方におすすめ | 確実に、そしてスムーズに免許を取得したい方 | 費用を抑えたい方、自分のペースで学習したい方、運転に自信のある方 |
教習所の種類だけでなく、通い方にも「合宿免許」と「通学免許」の2つの選択肢があります。それぞれのライフスタイルや優先順位に合わせて選ぶことが重要です。
合宿免許は、教習所の敷地内や提携宿泊施設に滞在しながら、集中的に教習を受けるスタイルです。短期間で免許を取得できるのが最大の魅力で、一般的には2週間から3週間程度で卒業が可能です。また、教習費用に宿泊費や食費が含まれているプランが多く、お得な時期を選ぶことで総額で通学よりも費用を抑えられる場合があります。遠隔地の教習所を選ぶことで、旅行気分も味わえるでしょう。ただし、決められたスケジュールで教習が進むため、途中で予定を変更しにくい点や、自宅を離れて生活することに抵抗がある方、まとまった休みが取りづらい方には不向きかもしれません。
一方、通学免許は、自宅から教習所に通いながら、自分のペースで教習を受けるスタイルです。学校や仕事と両立しながら免許取得を目指したい方、自宅を離れたくない方には最適です。ライフスタイルに合わせて教習の予約を立てることができ、スケジュールに柔軟性を持たせられるのが大きなメリットです。しかし、予約が取りにくい時期があったり、教習期間が長くなりがちだったりする点がデメリットとして挙げられます。
| 項目 | 通学免許 | 合宿免許 |
|---|---|---|
| 取得期間 | 最短日数~数ヶ月 (ライフスタイルに合わせられる) |
基本的に最短日数 |
| 費用 | 普通車AT免許が概ね30万円前後で年間通して変動が少なく安定している | オフシーズンは比較的安価、人気シーズンは高額になる傾向 |
| スケジュールの自由度 | 自分の都合に合わせて教習を予約を相談できるため、自由度が高い | 決められたスケジュールで進むため、自由度は低い |
| 生活環境 | 自宅から通学可能 | 教習所周辺での滞在が必要 |
| メリット | ・学校や仕事と両立しやすい ・人気な長期休みシーズンは合宿より費用を抑えやすい ・慣れた土地で練習できる |
・短期間で集中して取得しやすい ・比較的費用を抑えやすい ・非日常体験ができる |
| デメリット | ・スケジュール管理しないと期間が長くなりがち ・人気シーズンは予約が取りにくい場合がある |
・まとまった期間が必要 ・急な予定変更が難しい ・慣れない環境での生活のストレスがある |
運転免許の取得には、決して安くない費用とまとまった期間が必要です。ここでは、一般的な費用相場と取得にかかる期間について詳しく解説し、計画的な免許取得をサポートします。
運転免許の取得費用は、選ぶ教習所の種類(指定か届出か)、通い方(合宿か通学か)、そして取得する免許の種類(AT限定かMTか)によって大きく異なります。一般的な普通自動車免許(AT限定)の場合、25万円から35万円程度が相場とされています。
この費用には、入学金、学科教習料、技能教習料、教材費、技能検定料などが含まれていることがほとんどです。しかし、以下のような追加費用が発生する可能性も考慮しておく必要があります。
特に、MT(マニュアルトランスミッション)車での免許取得は、AT(オートマチックトランスミッション)限定免許よりも技能教習の時限数が多く設定されているため、費用が数万円高くなる傾向があります。教習所によっては、キャンペーン割引や学生割引、早期申し込み割引などを実施している場合もあるので、複数の教習所の料金プランを比較検討することをおすすめします。

運転免許取得にかかる期間も、教習所の種類や通い方、個人の進捗状況によって大きく変動します。一般的な目安は以下の通りです。
自分のペースで通えるため、期間は人それぞれです。平均的には2ヶ月から3ヶ月程度で卒業する方が多いですが、教習所の混雑状況や予約の取りやすさ、個人の通学頻度によっては半年以上かかることもあります。特に、学生の長期休暇期間(春休み、夏休みなど)は教習所が混み合い、予約が取りにくくなる傾向があるため、短期間で取得したい人は、ハイスピードプランなどの早期取得オプションをつけると良いでしょう。
最短で普通AT限定免許なら14日、普通MT免許なら16日で卒業が可能です。これは、教習所のスケジュールに沿って毎日集中的に教習を受けるため、効率的に進められるからです。ただし、途中で体調を崩したり、試験に落ちたりすると、期間が延びる可能性があります。
免許取得までの期間を短縮したい場合は、教習の予約を計画的に行うこと、そして学科・技能ともに予習・復習をしっかりと行うことが重要です。特に技能教習は、一度間隔が空いてしまうと感覚を忘れてしまい、補習が必要になるケースもあります。できる限り継続的に教習を受けることを心がけましょう。
運転免許には様々な種類があり、それぞれ取得できる車両や取得条件が異なります。ここでは、普通免許以外の主な免許の種類と、運転免許取得に共通して必要な年齢や身体的な条件について解説します。
運転免許は、運転できる車両の種類によって細かく分類されています。一般的に最も取得者が多いのは「普通自動車第一種運転免許」ですが、その他にも様々な免許が存在します。
| 免許の種類 | 運転できる車 |
|---|---|
| 準中型自動車免許 | 車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満、乗車定員10人以下の車両を運転できます。主に配送業や土木建築現場などで必要とされます。 |
| 中型自動車免許 | 車両総重量7.5トン以上11トン未満、最大積載量6.5トン未満、乗車定員29人以下の車両を運転できます。高所作業車や小型移動式クレーンなどがあります。 |
| 大型自動車免許 | 車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上、乗車定員30人以上の車両を運転できます。バスや大型トラックなどです。 |
| 大型特殊自動車免許 | 特殊な構造を持つ、除雪車やブルドーザーなどの車両を運転できます。 |
| けん引免許 | 車両総重量750kgを超える車両などを牽引する場合に必要です。 |
| 一般原動機付自転車免許(原付免許) | 総排気量50cc以下の二輪車を運転できます。 |
| 普通自動二輪車免許 | 総排気量400cc以下の二輪車を運転できます。 |
| 大型自動二輪車免許 | 総排気量400ccを超える二輪車を運転できます。 |
| 第二種運転免許 | タクシーやバスなど、旅客を運送する目的で運転する場合に必要です。普通、中型、大型、大特、けん引の車種別に取得する必要があります。 |
それぞれの免許には、取得できる年齢や、上位の免許の有無などの条件があります。ご自身の目的に合わせて、必要な免許の種類を確認しましょう。
運転免許を取得するためには、年齢だけでなく、身体能力に関するいくつかの条件を満たす必要があります。特に普通自動車第一種運転免許の取得条件は以下の通りです。
| 条件項目 | 詳細 |
|---|---|
| 年齢 | 普通自動車第一種運転免許は、満18歳以上でなければ取得できません。教習所への入校は、18歳の誕生日の数ヶ月前から可能な場合が多いですが、仮免許の取得は18歳になってからとなります。 |
| 視力 | 両眼で0.7以上、かつ、片眼でそれぞれ0.3以上であること。または、片眼の視力が0.3に満たない、もしくは見えない場合は、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること。眼鏡やコンタクトレンズを使用してもこの基準を満たせば問題ありません。 |
| 色彩識別能力 | 赤色、青色、黄色の信号灯を識別できること。色覚異常がある場合でも、信号の色が識別できれば問題ありません。 |
| 聴力 | 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること。補聴器を使用してもこの基準を満たせば問題ありません。 |
| 運動能力 | 自動車の運転に支障を及ぼす身体の障害がないこと。手足の障害などがある場合でも、補助手段(義手、義足、特定装置など)を用いることで運転が可能と認められる場合があります。事前に運転免許センターに相談することをおすすめします。 |
これらの条件は、安全な運転を行う上で非常に重要です。場合によっては免許の取得が保留されたり、取得できない場合もあります。もし不安な点があれば、事前に最寄りの運転免許センターで適正相談をしてみましょう。
仮免許(仮運転免許証)とは、公道で運転練習を行うために必要な免許です。第一段階の教習を修了し、修了検定(技能)と、仮免許学科試験(学科)の両方に合格することで取得できます。仮免許がなければ、路上での運転練習はできません。
仮免許の主な目的は、本免許取得前に安全な運転技術と交通ルールを習得することにあります。仮免許取得後は、必ず指定自動車教習所の教習指導員や、免許取得後3年以上の経験者などの同乗と、「仮免許練習中」の標識を車両の前後に掲示することが義務付けられています。
仮免許の有効期限は、発行日から6ヶ月間です。この期間内に、第二段階の教習を修了し、卒業検定に合格して教習所を卒業する必要があります。
もし有効期限が過ぎてしまった場合、仮免許は失効し、再び仮免許を取得するための試験を受け直す必要があります。その際には、再度教習料金や試験手数料が発生する可能性があるため、計画的に教習を進め、有効期限内に教習所の卒業を目指すことが重要です。
学科試験は、交通法規や安全運転に関する知識を問われる重要な試験です。合格するための主なコツは以下の通りです。
市販の問題集や教習所から配布される教材を徹底的に活用しましょう。特に間違えた問題は、解説をよく読み込み、なぜ間違えたのかを理解することが大切です。
多くの教習所では、本番さながらの模擬試験が実施されます。これにより、時間配分や苦手分野の把握ができ、本番での緊張を和らげる効果もあります。オンラインの模擬試験アプリなども有効です。
学科試験では、道路標識や道路標示に関する問題が頻繁に出題さます。似たような標識もあり、間違えてしまう人が多いジャンルの問題になります。イラスト問題も多いため、意味だけでなく、形状や色も正確に覚えましょう。
一見正解に見えるが、実は誤りという「ひっかけ問題」も少なくありません。問題文を最後までよく読み、「〜の場合がある」や「〜しなければならない」といった表現に注意して判断しましょう。
単に暗記するだけでなく、なぜそのようなルールがあるのか、その背景にある安全の考え方を理解することで、応用問題にも対応できるようになります。
技能試験(修了検定、卒業検定)は、実際に車を運転し、安全運転技術や交通ルールを遵守できているかを評価される試験です。合格するためには、以下のポイントに特に注意しましょう。
| 項目 | 注意すべきポイント |
|---|---|
| 安全確認 | 発進時、右左折時、進路変更時など、ミラーと目視で安全確認を徹底しましょう。左折時の巻き込み確認も重要です。 |
| 合図(ウインカー) | 右左折は30m手前、車線変更は3秒前の合図をタイミングよく行いましょう。また、合図の戻し忘れに注意しましょう。 |
| 速度と車間距離 | 常にゆっくり慎重に…は円滑性に欠けます。道路状況や制限速度に応じた適切な速度で走行し、前車との安全な車間距離を保ちましょう。 |
| 一時停止と踏切 | 一時停止線では確実に停止し、左右の安全確認を徹底します。踏切では、停止線で一時停止し、窓を開けて左右の安全確認と音の確認を行いましょう。 |
| S字・クランク・縦列駐車・方向転換 | これらの課題は、教習で習った手順通りに、焦らずポールや縁石に接触しないよう慎重に操作しましょう。タイムアタックではないので一つ一つ丁寧に確認・操作しましょう。 |
| 発進・停止 | スムーズな発進・停止を心がけ、周囲の車や歩行者等の動きに注意して行いましょう。特にMT車の坂道発進は、後退しないよう慎重に操作しましょう。 |
| 指示速度 | 検定員から指示された速度(例:40km/h)で安定して走行しましょう。 |
| 冷静な対応 | 多少のミスがあっても、慌てずに次の操作に集中しましょう。ミスを引きずらず、落ち着いて運転することが大切です。 |
検定中は普段の教習で指摘された点をしっかり改善し、自信を持って臨みましょう。
卒業検定(卒検)は、教習所の全課程を修了した最終試験であり、これに合格することで教習所を卒業できます。合格すれば「卒業証明書」が発行され、運転免許センターでの技能試験が免除されます。
卒業検定の流れは以下の通りです。
合格のポイントは、基本的に技能検定で注意すべきポイントと共通しますが、特に以下の点を意識しましょう。
安全確認(目視、ミラー)、合図、車間距離の保持、速度管理など、基本的な安全運転動作を怠らないことが最も重要です。
減点を避けるということもありますが、実際には、事故や周囲の交通に迷惑をかける恐れのある運転行動のため減点されるわけです。そのため、減点項目を理解できれば自ずと周囲に気を配った運転につながります。
緊張からミスを誘発することがあります。深呼吸し、普段の教習と同じように、一つ一つの操作を丁寧に行うことを心がけましょう。
検定員の指示を正確に聞き取り、迷わず行動することが大切です。もし聞き取れなかった場合は、遠慮なく聞き返しましょう。緊張でコースを間違ってしまった場合にも減点はありませんので、焦らず次の指示に従ってコースに復帰しましょう。
卒業検定は、「交通の状況を掴み、適切な運転行動が取れるか」が問われる試験です。自信を持って臨めるよう、苦手な課題は教習の段階で徹底的に克服しておきましょう。
本免許学科試験は、運転免許センター(運転免許試験場)で受験する最終の学科試験です。これに合格することで、晴れて運転免許証が交付されます。一発合格のポイントは以下の通りです。
仮免許学科試験よりも、さらに広範囲の交通法規、安全運転の知識、危険予測に関する問題が出題されます。
【問題数】文章問題90問、イラスト問題5問の合計95問。
【配点】文章問題1問1点、イラスト問題1問2点。
【合格基準】90点以上で合格です。
市販の過去問題集やオンラインの模擬試験サイト、アプリなどを活用し、繰り返し問題を解いて出題傾向と自分の苦手な部分を把握しましょう。間違えた問題は、解説を読み込み、理解を深めることが重要です。
試験当日は、落ち着いて問題文をよく読み、焦らずに解答しましょう。見直しも忘れずに行い、ケアレスミスを防ぐことが一発合格への鍵となります。

運転免許を取得したばかりの運転者には、特定の期間、初心運転者標識(通称:初心者マーク)の表示義務があります。
この義務は、普通免許を取得した方が対象で、免許取得から1年間にわたって適用されます。この期間中に初心者マークを車体の前後両方に表示せずに運転した場合、交通違反となり、反則金や行政処分の対象となる可能性があります。
また、初心者マークの表示義務期間中(初心運転者期間)に、違反行為によって一定の点数(累積3点以上、または1回の違反で3点の場合)に達すると、初心運転者講習の受講が義務付けられます。この講習を受講しない場合や、講習後もさらに違反を重ねて規定の点数に達した場合は、免許の再試験や免許取消しの行政処分を受けることがあります。
初心者マークの掲示義務はありませんが、普通車の他にも、準中型自動車、大型自動二輪、普通自動二輪、一般原動機付き自転車の免許も、取得後1年間は初心運転者期間となり、同様の処分を受けることがあります。
運転免許取得後に交通違反を犯した場合、その違反の内容に応じて違反点数が加算されます。この違反点数が累積すると、行政処分として運転免許の停止(免停)や取消しといった重い処分が科される可能性があります。
特に、免許取得から1年間の初心運転者期間中は、通常の違反点数制度に加え、以下の特例が適用されます。
初心運転者期間中に、違反行為により累積点数が3点(1回の違反で3点の場合はその点数)に達した場合、初心運転者講習の受講が義務付けられます。この講習を受講しない場合や、講習後もさらに違反を重ねて規定の点数に達した場合は、再試験を受けることになります。再試験に不合格となると、免許が取り消されることがあります。
違反には比較的軽度の一般違反行為と、酒気帯び運転者無免許運転のような悪質で危険な違反の特定違反行為があります。違反や事故があった場合には、その原因となった違反行為の基礎点数に、交通事故の種別と不注意の程度に応じて付加点数が加算されます。これらに違反の前歴回数などを踏まえて免許の停止や取り消しの処分が決まったり、反則金の支払いが生じたりします。
運転免許証には有効期限があり、期限が切れる前に更新手続きを行う必要があります。更新は、運転免許証に記載されている有効期間満了日までに手続きを行わなければなりません。
更新手続きができる場所は、主に以下の2つです。
ほとんどの都道府県で、すべての運転者区分(優良、一般、違反、初回更新)の更新手続きが可能です。即日交付されることが多く、講習もその場で行われます。
更新手続きが可能ですが、多くの場合、優良運転者や高齢者講習を修了した方など、特定の運転者区分に限られ、初回更新者などは更新手続きできません。また、免許証の即日交付はされず、後日郵送となる場合が多いです。
更新時期が近づくと、公安委員会から更新連絡書(ハガキ)が郵送されてきます。このハガキには、更新期間、必要な持ち物、講習区分、手続き場所などが記載されていますので、必ず確認しましょう。
また、海外渡航や入院など、やむを得ない事情があって更新期間中に運転免許の更新ができない場合には、事前の更新手続きを受けられる場合もあるため、速やかに最寄りの運転免許センターに相談しましょう。
運転免許の更新手続きには、いくつかの必要な持ち物と費用があります。事前に準備しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。
一般的に必要な持ち物と費用は以下の通りです。
| 持ち物 | 詳細 |
|---|---|
| 運転免許証 | 現在お持ちの運転免許証。有効期限内のものが必要です。 |
| 更新連絡書(ハガキ) | 公安委員会から郵送されるハガキ。紛失した場合でも手続きは可能ですが、持参した方が手続きがスムーズに進みます。 |
| 手数料 | 更新手数料と講習手数料が必要です。金額は運転者区分(優良、一般、違反、初回更新)によって異なりますが、おおむね3,000円から4,500円程度です。 |
| 写真 | 一部の都道府県や警察署では、更新時に写真が必要な場合があります。縦3.0cm×横2.4cmのサイズで、申請前6ヶ月以内に撮影されたものが一般的です。運転免許センターではその場で撮影できる場合もあります。 事前に各都道府県警察のウェブサイトで確認するか、更新連絡書で確認しましょう。 |
| 眼鏡、コンタクトレンズ | 視力検査がありますので、普段使用している場合は必ず持参してください。 |
| 高齢者講習終了証明書 | 70歳以上の運転者が更新する場合に必要です。事前に講習を受講し、証明書を取得しておく必要があります。 |
正確な情報や最新の手数料については、ご自身の居住地の都道府県警察のウェブサイトや、郵送される更新連絡書で確認するようにしましょう。例えば、警視庁のウェブサイトでは、運転免許証更新手続きの詳細が掲載されています。警察庁 運転免許証の更新手続
また、運転免許の更新手続きは、過去のコラムでも掲載しています。
交通違反を重ねたり、重大な事故を起こしたりすると、運転免許の停止(免停)や取消しといった行政処分が科されます。これらの処分は、運転者にとって非常に重い影響を及ぼします。
一定の違反点数が累積すると、運転免許が一時的に停止されます。停止期間は、累積点数や過去の行政処分の有無によって異なり、概ね30日から180日程度です。
免停期間中は、運転免許の効力を失っているため無免許状態となり、一切の運転が禁止されます。もし免停期間中に運転を行った場合、無免許運転としてさらに重い罰則が科されます。免停処分を受けた場合、希望すれば停止処分者講習を受講することができます。この講習を終了後に考査があり、その成績によって免停期間が短縮されます。
さらに違反点数が累積したり、飲酒運転やひき逃げなどの重大な違反・事故を起こしたりした場合、運転免許が取り消されます。免許が取り消されると、一定期間(欠格期間)は新たに運転免許を取得することができません。
欠格期間は違反の内容や累積点数によって異なり、最短1年から最長10年に及びます。欠格期間が終了した後も、すぐに免許を再取得できるわけではありません。後述の「免許を再取得するにはどうすればいい?」で詳しく説明しますが、取消処分者講習の受講や、改めて運転免許試験に合格する必要があります。
これらの行政処分は、道路交通の場から危険で悪質な運転者を排除するために行われます。みんなが交通の場を安全に利用できるように、常に交通ルールを守り、安全運転を心がけることが何よりも重要です。
運転免許が取り消された場合、すぐに運転を再開することはできません。免許を再取得するためには、以下のステップを踏む必要があります。
免許取消し処分を受けた際、公安委員会から指定された「欠格期間」が満了するまで待つ必要があります。欠格期間が満了しなければ新たに免許を取得することができません。
運転免許を再取得するためには、「取消処分者講習」を必ず受講しなければなりません。この講習は、過去に免許取消し処分を受けた方を対象とした特別な講習です。講習は通常1日〜2日間行われ、費用もかかります。この講習を修了しないと、運転免許試験を受験する資格が得られません。
取消処分者講習は欠格期間中に受けることもできますが、受講修了証の有効期限が1年間のため、免許取得のタイミングも考慮した日程で受ける必要があります。
取消処分者講習を修了し、欠格期間が満了すると、運転免許センターでの運転免許試験を受験する資格が得られます。これに合格することで免許を再取得することができます。
多くの人は、改めて自動車教習所に入所し、学科教習と技能教習を受けます。教習所を卒業すれば、運転免許センターでの技能試験が免除されます。
ただし、欠格期間が満了していない場合や、取消処分者講習を修了していない場合は、入校を断られる場合もあるため、事前に最寄りの自動車教習所に入校のタイミングを相談しましょう。
教習所に通わず、運転免許センター(運転免許試験場)で直接、仮免許学科試験、仮免許技能試験、本免許学科試験、本免許技能試験のすべてを受験することも可能です。ただし、非常に難易度が高いとされています。
すべての試験に合格し、適性検査(視力等)を合格すれば、新たな運転免許証が交付されます。
免許の再取得は、時間も費用もかかる大変なプロセスです。免許を失うことのないよう、日頃から安全運転を心がけましょう。

運転免許の取得や更新時には、安全に運転できる能力があるかを確認するため、適性検査が実施されます。この検査は、主に視力、深視力の2つの項目について行われます。
視力や深視力の基準については過去のコラムで詳しくご紹介しているのでぜひご覧ください。
これらの基準は、安全運転を確保するために設けられています。もしご自身の適性について不安がある場合は、事前に運転免許センターの適性相談窓口に相談することをおすすめします。
なお、深視力検査は大型、中型、準中型、牽引、二種免許において実施されます。その他の車種では検査項目にはありません。
怪我や病気がある場合でも、運転免許の取得は可能な場合があります。しかし、その状態が安全な運転に支障を及ぼす可能性があるか、公安委員会の判断や医師の診断が必要となります。
道路交通法では、運転に支障を及ぼす可能性のある特定の病気(てんかん、統合失調症、睡眠時無呼吸症候群、再発性の失神、そううつ病、認知症、その他自動車等の安全な運転に必要な能力を欠くおそれがある症状を呈する病気など)について、公安委員会への申告義務が定められています。
もし該当する病気や症状がある場合は、免許の申請時や更新時に正直に申告することが非常に重要です。虚偽の申告をした場合、免許の取り消しや罰則の対象となる可能性があります。申告された情報に基づいて、公安委員会は医師の意見を聞いたり、個別で適性検査を実施したりして、運転の可否を判断します。
具体的な判断基準や手続きについては、個々の状況によって異なります。ご自身の健康状態に不安がある場合や、特定の病気を抱えている場合は、必ずお住まいの都道府県の運転免許センターにある「適性相談窓口」に事前に相談してください。専門の担当者が、個別の状況に応じたアドバイスや必要な手続きについて詳しく説明してくれます。
例えば、身体に障害がある場合でも、車の改造や特定の補助装置の使用によって安全な運転が可能と判断されれば、免許の取得や更新が認められるケースも多くあります。
詳細な情報や相談先については、警察庁のウェブサイトや各都道府県警察のウェブサイトで確認することができます。例えば、警察庁のウェブサイトや各都道府県警察の運転免許関連情報ページなどで、病気や身体の状態に関する運転免許のQ&Aが掲載されていることがあります。
今回は、運転免許の取得前から取得後、さらには更新やトラブル時の対応まで、幅広い疑問に網羅的に回答しました。
運転免許を取得するにあたり様々な質問が寄せれます。今後もよくある質問を解説する形でもコラムに掲載していきますのでぜひご覧ください。
これらの情報が、運転免許取得を目指す方々の不安を解消し、自信を持って安全なカーライフを始める一助となることを願っています。